卒業生スペシャルインタビュー

お母さんに知ってほしいのは、「結果を焦らない」こと。

 

子どもに習い事をさせるとき、親はすぐに、結果を求めがちです。その気持ちは、もちろん理解できます。目に見えて結果が分かる習い事は、親も張り合いがある。けれど、英語はそういった習い事とは、性質が違うんですね。言葉なので、ゴールがないのです。 むしろ、ゴールを決めてしまうのなら簡単ですよ。TOEICで何点をとるとか、そういった数値的なものでよいのなら、確かにゴールはあるでしょう。でも、本当に英語をものにする、というのは、そんなことではないはずです。言葉の技術だけを、習得させたいのではないはず。親が本当に何を求めているかといえば、「英語を使って、我が子がしたいことをできるようにしてやりたい」からではないでしょうか。言語の壁に阻まれることなく、自分の夢を自由に実現できるように。それが、親が本当に与えたい、“語学力”だと思うのです。それにはまず、英語を好きになること。英語を使う場面は常に楽しい雰囲気であると、たくさん経験させることが何より大切だと、私は考えています。

そこで、ぜひ実践していただきたいのが……というか、やらないでいただきたいのが、お子さんが英語教室から帰ってきたときに、「今日、何を習ったの?」と質問攻めにすること。「英語で言ってごらん」など、テストするようなことはしないでほしいんですね。英語を会得する上で重要なのは、どれだけ英語を浴びるように、自然に耳に入れることができたか。小さな子どもたちは、英語は英語のまま、すんなりと理解することができる。ところが、こういった親の質問では、間違えでもしたら、「違うわよ」と、否定的な言葉が飛ぶ。つまらない“勉強”になった途端、子どもは英語に対する純粋な興味を失ってしまいます。せっかく自然に英語が身につくのを、わざわざ邪魔することになりかねないんですよね。

水を少しずつ溜めるように英語に触れ続けて。

語学の習得は、長期的なものです。たとえば私は、小学3年生の小学館アカデミーからそれが始まり、英語を好きになることによって自主的に……教科書や参考書ではなく、洋楽や映画など生の英語に触れ続けてきました。高校1年の終わりにひとりでアメリカを旅しましたが、そのときには、日常会話に関しては何の問題もありませんでした。そこに到達するまでには、おおよそ8年もの歳月を必要としたわけです。英語が口から自然に出るためには、長年、どれだけ多くの英語を吸収して、経験値を上げてきたかが物を言います。その結果はすぐに出るものではなく、とくに幼い頃には何の意味もないように感じるかもしれません。けれど、そこであきらめてほしくはないんですね。聞いたり触れたりした英語は必ず、子どもたちの中に確実にたまっていく。「せっかく、習わせているのに、何も話さない」と親ががっかりしているその瞬間も、子どもたちの中で、きっと何かが変わっているのです。続けていくことでしか、その経験値は上げることができない。あきらめて、やめてしまったら、そこで終わってしまうものなのです。

いま、小学館アカデミーの英語コースはイーコラボと名前が変わりましたが、楽しくたくさんの英語を聞くこと、失敗を恐れることなく、自分の気持ちを自由に英語で表現すること、この大切な2つの柱は、私が学んだ当時と変わらないようです。興味があることを聞き、伝えたいと思うことを間違いを恐れず、伝える。まずは、英語が楽しいと思う経験を、たくさんの子どもたちにしてほしい。私のように、より多くの子どもたちが、英語といい出合いをしてほしいな、と考えています。


藤田 保さん 上智大学 言語教育研究センター教授 副センター長 専門は応用言語学(バイリンガリズム)と外国語教育。NPO小学校英語指導者認定協議会(J-SHINE)理事。公益財団法人 日本英語検定協会理事。 『21年度から取り組む小学校英語 - 全面実施までにこれだけは』(教育開発研究所/共著)、『英語教師のためのワークブック』(アルク)など著書多数。


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